教育の時代
教育:未来への橋
下村 哲夫
1
1香川大学
pp.1
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906165
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未来論がはなやかである。書店には「未来」の背文字が氾濫し,学問的に「未来」にとりくもうという学会も生まれた。学校の先生と話していても,「21世紀のリーダーを育てるわれわれの覚悟は」と大上段にふりかぶられてとまどうことがある。人類の未来はどうなるのだろう。21世紀の教育はどんなものだろう。ともすればわたしたちはとりとめもない空想を楽しむ。
当面学習の個別化の進むことはまず間違いない。コンピューターの助けをかりて,ひとりひとりの生徒が自分の能力・適性・関心に応じた学習内容を,自分に最もふさわしいペースで学ぶことができるのは,それほど先のことではあるまい。そうなれば同じ年齢の生徒を同じ学年に区分し,共通の学習内容を学ばせる現在の学校のしくみは大きく変わる。新しい学校では一定の入学年齢や卒業年齢は意味を失ない,義務教育年限というものも必要なくなる。学校そのものの役割が改めて問われるのである。
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