学院長より一言
オフィスからラボラトリーへ
山本 俊介
1
1三重県立大学医学部高等看護学校
pp.36-37
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905972
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看護能力向上の問題は単に看護だけの問題ではない。患者を中心とした医療チームの一翼を担う看護側面の能力不足は医療チームの総力低下を意味する。私どもはこの問題をよく次のように表現している。すなわち,医療チームは桶のようなものであり,患者は桶の中の水のようなものである。桶の板は医師,薬剤師,看護婦,栄養士,検査技師,X線技師,事務員などになぞらえられ,竹の枠は管理職にあたるであろう。今,おのおのの板の高さ—すなわち,各職能の能力が同一水準にそろっていれば,水の容量は大きい。ところが,一枚の板の高さが低い—例えば,看護職の職能が充分でない場合は,板の高さの最も低い水準までしか水は桶の中に満ちない。このような状態は,桶としての医療チーム全体の,水準の低さになるのである。この意味から,看護力の向上は重要な問題と思われる。
医療の考え方—特に医療の社会的意義も時代とともに大きく変わってきた。医療の社会化の動きがはじまり,病院が特殊世界ではあり得なくなり,社会的要請が病院のあり方に大きく影響してくるようになったと同時に病院内社会が地域社会と同じような社会的変遷をたどると共に,患者にとって好ましい治療的社会であることが要請されるようになってきた。
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