特集 第16回看護教育研究会夏期講習会のすべて
看護教育研究会 第16回夏期講習会
Ⅶ 脳外科の現状
松本 正久
1
1中央鉄道病院
pp.52-57,65
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905703
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脳神経外科の歴史と現在人口
昭和40年6月1日,医療法第70条の一般診療科名に,脳神経外科が加わりました。それによりますと,脳・脊髄および末梢神経に関する外科ということになっております。しかも,私どもがいろいろ携わってみますと,外科というより,むしろneurology,神経学の外科的な処置をする部門という感じが強い科であります。
脳神経外科の歴史をひもときますと,人類が頭をいじりだしたのは非常に古く,既に石器時代に穿頭術が試みられておりますけれども,当時は悪霊を追い出すというか,むしろ宗教的色彩が強かったようであります。紀元前17世紀のEdwin Smithの羊皮紙には,頭および脊椎の外傷を手術的に処置したという記録が残っております。専門化してきたのは20世紀の初頭でありまして,Victor Hosleyという人が,はじめて,いわゆる脳神経外科的な仕事に専念しました。1884年には,Bennett & Godleeが,脳腫瘍の摘出に成功しております。現在の脳神経外科の大系をつくりあげたのは何といいましても,Havey Cushing(1869〜1930)でありまして,特に診断と手術手技の確立に力を注いだ人であります。1920年には脳神経外科の学会を設立し,今日も連綿と続いております。
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