特別企画 家族を単位とした分析視点と支援技術
健康問題解決過程における家族支援方法論の展開
Ⅶ.全体考察
pp.1013-1016
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206930
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1.事例の問題状況
各事例に発生している健康問題の種類は異なるが,問題状況の性質からとらえると,次のような共通点がみられた。
本人・家族の片方もしくは両方で,問題について困難や葛藤を感じているが主体的な取り組みがない。どうすればよいかわからない状況である。その理由を分析してみると本人および関係の深い家族員は,問題への主体的な取り組みを可能にするレディネスとしての安定,所属性,承認の欲求が満たされていない。また家族全体として家族員相互の関係性,統合性,外部社会との関係性が弱い。すなわち家族員個々人のレディネスと家族の凝集性に問題があって,問題に取り組むためのまとまりのある力になりえていないことが明らかになった。さらに個人,家族において発達に伴う課題を達成してこなかったとか,自立的相互協力関係を育ててこなかったという問題累積の背景があるところへ,現在の問題が加わったことで深刻化した例(事例C,D)もみられた。
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