特集 カリキュラムを検討する
文部省カリキュラム改善案に思う
改正の過程には問題も犠牲もある
森表 つや子
1
1大阪大学医学部付属看護学校
pp.18-19
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905361
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昭和26年に制定された保健婦,助産婦,看護婦学校養成所指定規則のもとに,現状看護教育を担当していて,明日の看護を担う看護教育を要求されても,実質,仏つくって魂いれずの教育に終わり,教育担当者の教育意欲すら失われて行く現状ではないかと痛感いたしております。看護教育17年の歩みが,看護とは何ぞや,何をなすべきかを考え,また自ら看護の自覚を新たに,ワンステップを踏み出したことは事実であります。かくあるべき方向を見いだしたとき,現状カリキュラムで果たして,管理・指導能力のある看護婦が育成できるかどうか,はなはだ疑問であります。カリキュラムが能率的でないために,正しい看護の把握と専門職業としての責任を受け止めさせることができないのみならず,真剣に看護を学ぼうと希望を抱いた学生に,カリキュラムの矛盾から意欲を疎外させ,あらぬ方向に走らせてしまうおそれさえあります。
現状カリキュラムに対して,看護教育者はもちろん,学生までが矛盾を指摘しているとき,文部省カリキュラム改善案はどんなに期待され,また内容について興味をいだいたことでしょう。発表されるや意見を求められ,私としても不勉強で皆さまの前に意見など発表できる資格はございませんが,常々教育に対する希望としてもちつづけていたものを,改善案に合わせて感想を述べ皆さまに足りない点を補なっていただけましたら幸いでございます。
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