看護管理
看護業務の分析方法
倉田 正一
1
,
原田 幸彦
1
1慶応大学医学部病院管理学教室
pp.51-56
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905307
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.作業分析の必要性
医師をリーダーとする病院の医療チームにおいて看護婦の占める役割はきわめて重要である。特にチームが包括的な医療,すなわち有機体としての患者の診断治療に満足することなく,さらに情緒的な問題や家族問題を含めて,患者の社会的経済的環境全体を考えていくという態度をもって医療をすすめていく場合には,看護婦や医療社会事業士に課せられる任務はきわめて大きなものがあり,その活動状態がこのようなアプローチの決定的な因子になることと思われる。
臨床看護業務は非常に幅の広いものであって,いまだに患者に対する給食,事務,清掃,運搬,連絡などに関係して貴重な時間をさかれる未分業状態もある。もちろんこれら事項は患者の世話に不可欠の事項ではあるが,そのために単なる看護技術に追われ,患者の社会的経済的環境に対するケアーぶ犠牲にされてはなるまい。そこで限られた数の看護チームで,メンバーの看護能力に応じた作業配分が計画されねばならない。それには,看護婦一人一人について能力に応じた仕事の種類を分けていくことが第一段階であろうが,看護がチームで行なわれる以上,メンバー相互の有機的なつながりをみることが極めて重要なことになり,特にチームナーシングともなるとこれが効果を左右する因子となろう。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.