グラビヤ
東京身体障害者職業訓練所をたずねて
pp.37-40
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905276
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ここ東京身体障害者職業訓練所(東京都小平市小川西町2,264 所長松本清氏)は,全国の盲人を除く身体障害者を対象に,将来このひとたちが自分の力で更生できるように,1年間おのおのが持っている残存能力に応じたいろいろな職業技術を指導するところ。都心から西へ30km余り,まだ周囲に武蔵野のおもかげを残している絶好の環境に恵まれている。戦争がはじまった昭和16年,青壮年を軍隊式に訓練するために建てられたのがそもそものはじまり。現在のように身体障害者対象の職業補導は23年からであるが,36年には建物も今までの木造から一新され,実習室,寮,教室など近代的な設備が整った。訓練生の障害の原因をみると,最も多いのは小児麻痺系の障害,つづいて結核性化膿性などの関節疾患によるもの,工場災害などである。大半は機能の障害者で,手あるいは足を切断したものが全体の17%前後いる。機能回復がすんで団体生活であるから自分の身のまわりのこといっさいができることが入所の第一条件。純すいに職業訓練が中心である。教える科目は洋服,洋裁,時計修理,印章彫刻,義肢,編物,和裁,木工,塗装,製靴,マネキン人形製作,機械製図,事務科の13科目。本人の希望と適性検査できめられる。北は北海道,南は九州,奄美大島から集まる障害者は,それぞれ年令,能力,障害箇所,障害程度に差があるだけに指導員の苦労はたいへんなものである。
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