海外の新しい看護カリキュラムのいろいろ
—オーストリア—ウイーン市立病院付属看護婦学校
塚本 蝶子
1
1病院管理研究所
pp.602-605
発行日 1961年12月1日
Published Date 1961/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904111
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十二月も終りに近いウィーンの町にたどりついた私は,オーストリア看護協会を訪れ,そこの紹介で,寒いウィーンの町の市電に乗って,カイザー・フランツ・ヨーゼフ病院付属の看護婦学校を訪問した。ここの看護婦の教育は,ウィーン市内にある他の教育に比較して,新しい試みとしての性格を多分に持っていると聞いたからである。学校の校長は,日本と同じに,病院の院長であったが,実際の教務は,フラウライン・コッペルミュラーという,若い主任がしていた。彼女は,英国をはじめ,米国の新しい看護教育を勉強してきていた人で,キビキビとした態度で私を迎えてくれた。「オーストリアの看護教育は,教育というよりも,ただで教えてあげるという意味がまだ根強く,いわば徒弟制度の現代版です」と彼女は,淋しい,意味ありげな口もとで,その学校のプログラムの説明をはじめてくれた。入学資格は17歳半以上30歳まで,現在,34名の学生がおり,そのうち3名は男子であった。(新しいプログラムが始まったばかりで,第一学年が在学していたのみであった)「男子生徒は,少数の珍しい存在ではあるが,今後,大いに拡げられるべき意味を看護界にもつものだ」と彼女は話した。1年1回の募集で,入学は満14歳までの基礎教育,つまり中学卒の学力と証明をもつものから,学業成績表と面接とで撰考されるとのことであった。面接委員は,病院長,市の衛生部の者,病院総婦長,学校教務主任,看護婦組合代表で組織されている。
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