連載 医療と社会 ブックガイド・21
サバイバーたちの本の続き・1
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.880-881
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903303
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前回・前々回と「べてるの家」についての本を紹介した.そして第16回(43巻5号)で紹介した大熊一夫の本が告発したのも,またその前の第15回(43巻4号)でゴッフマン『アサイラム』が取り上げたのも精神病院だった.さらに遡れば第2回(42巻2号)の「「消費者主義」の本」でも『大阪精神病院事情ありのまま』を紹介した.なにを知っているわけでもないのに,精神医療に関係する本の紹介が続いている.なにも知らなくても目につく本は他にも多くありきりがないが,あと2回ほど続ける.精神障害の当人による,そして当人たちの運動についての本である.
べてるの家は,そしてべてるの家について書かれたものは,少なくとも少なからぬ人たちに好かれる.前回紹介した『悩む力』は講談社ノンフィクション賞をもらった.私もべてるの家についての本がいくらでも売れてほしいし,私が思わなくとも実際売れるはずだと述べた.ただ同時に,今回から次回取り上げるような本と比べて,なぜそれが受けるのかを考えてよいとも思う.
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