連載 医療と社会 ブックガイド・23
サバイバーたちの本の続き・3
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.48-49
発行日 2003年1月25日
Published Date 2003/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903345
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前回は吉田おさみの本をとりあげたが,ディープなところに一直線というのも刺激が強すぎるかもしれない.今回はすこし普通の感じのものから.月崎時央『精神障害者サバイバー物語-8人の隣人・友達が教えてくれた大切なこと』(中央法規,2002年,255p.,1800円).近年は精神障害に関わる領域での仕事が多いフリーのジャーナリストが8人にインタビューして書いた.「「サバイバー」という隣人」という前書きから読み出した人は,どんどん読んでいってすぐに最後まで読んでしまうだろう.登場するのは名前・写真掲載OKという人たちで,書かれたものを読んだことはあるがどんな人なのかなと思っていた私のような者には,顔写真を拝見できたりするだけでうれしかったりする.
べてるの家の早坂潔が最初に登場して,べてるの家の本(本連載20~21,本誌2002年10・11月号)を読んで写真も見た人は,またこの人だ,と思うはずだ.そして埼玉県の宇田川健,奈良県の菊井俊行,大阪府の夢村,新潟県の小島康.「運動」している人ばかりではないが,全国精神障害者団体連合会(全精連)事務局長の有村律子(埼玉県),大阪精神医療人権センターの山本深雪,そして個人として様々に活動・発言している神奈川県の広田和子も出てきて,精神障害者による精神障害者のための運動のこと,それに関わっている人のことを知るという意味でもおもしろい.
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