連載 論より生活・7
1枚の写真から
頼富 淳子
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1(財)杉並区さんあい公社
pp.560-561
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902297
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協力員の道子さんは20歳をちょっと出たばかり.清々しさと心の奥行きの深さを感じさせる女性である.89歳の二宮さんを毎週1回訪れて,トイレ介助や語相手をしている.二宮さんは終日座って,意味をなさない言葉でお念仏を唱え,泣き,笑い,大声で怒りながら彼女の世界を暮らしている.
道子さんから毎月送られてくる活動についての通信は,私にとってまさに生きた教科書をいただくに等しい.道子さんに返信を書く作業は,自分なりの考えの整理になり,ささやかながら自分に積みたて貯金ができるような気がする.道子さんの通信から私が受ける恵みは,予断なしのものの見方と透明度の高い感性に触れられることで,自分の濁りが濯がれることである.
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