グラフ
ロサンゼルス―日系人への在宅医療サービスに同行して
武田 春美
1
1函館大谷女子短期大学
pp.803-805
発行日 1998年11月25日
Published Date 1998/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901928
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「私は診察を受けるとき,医者の第1オピニオンだけでは納得しません.必ずほかの医者にも診てもらい,第2,第3のオピニオンまで聞き,そして最後には自分で判断します」人種差別と不法移民の絶えない街,ロサンゼルス.米国に,かつて新天地を求めて移民していった日本人は,2世,3世とその地に生活を築いた.高齢となった現在,どんな思いで暮らしているのだろうか.時代を越え,多感に生きてきた彼らのなかの一人,下元さん(74歳)を訪問した際に,話してくれたのが冒頭の言葉である.
包括医療の乏しい多民族国家である米国では,高齢者人口の増加に伴う医療費の増加に対して,30年前から大掛かりな医療改革を進めてきた.その中で発達してきたのが在宅医療サービスである.現在,公営・民営のものをあわせて在宅医療サービスセンターの数は全米で大小約2万か所にのぼり,新しい医療の形態として広く国民に受け入れられているという.そのシステムの基盤にあるのは,他人と協調しつつも独立自尊で人生を切り拓いてきた米国人魂,つまり,自分の健康は自分で守るという「自律心」を誇るところに帰する.
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