特集 教育にいかすカウンセリング
看護基礎教育におけるカウンセリングの授業の現状―看護職と非看護職の比較
奥野 茂代
1
1日本赤十字社幹部看護婦研修所
pp.175-184
発行日 1994年3月25日
Published Date 1994/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900799
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21世紀に向かって社会のニーズに対応できるための専門的知識,技術,態度を修得し,さらに自己成長していける基盤を身につけた看護職者の育成を目指し,保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則1)(以下基準カリキュラム)が,1989(平成元)年に改正された.今回基礎看護学に基礎看護技術.基本技術として位置づけられた「カウンセリングの基礎」は,対人専門職としての看護職が対象理解や対象との相互関係を維持・発展していく能力を育成するにあたり重要な内容である.またカウンセリングは,看護の対象となる人々だけでなく看護職者自身の自己成長や自己実現,さらに職能開発などに活用できる知識体系と考えられる.
実践カリキュラムにおける基礎専門科目や専門科目の各教科目は,看護の視点を明確に一貫させ,不要な重複を避け効率よく展開するために,将来的に看護教員ができるだけ教授するよう期待されている.カリキュラム改正以来すでに4年経過し,様々に創意工夫がされた実践カリキュラムの報告は,数多くなされている.しかしカウンセリングの授業に関しては,体系的に学んだ看護教師も少なく看護職以外の担当者に委任せざるを得ないことや,担当しても授業内容の焦点を絞りにくいなどが教育実践の現場から聞かれ,その授業実践に関する報告は見あたらない.そこでカウンセリングの授業の実態を調査し,看護基礎教育におけるカウンセリングの教育方法や担当者の抱えている課題を検討した.
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