主張・提言
私たちが訴えたかったこと―弁論大会の開催を通して
我妻 有理子
1,2
1全国看護学生弁論大会実行委員会
2聖路加看護大学
pp.124-128
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900786
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運営委員会発足のきっかけ
私たちが看護学生自らの力で弁論大会を運営したいと思うようになったのは,大学生活も3年の後半を迎えた頃のことだった.その時期には既にいくつかの病棟での実習を終え,看護職を客観的な視点から余裕を持って捉えられるようになっていた.そこで私たちが共通して感じていたことは,社会における看護職者のイメージの固定化であった.献身的で自己犠牲をいとわない「白衣の天使」は,看護職者の代名詞のように用いられ,その実態は3K,10Kといった言葉で表現されている.
このようなイメージの固定化には,看護職者が自分たちに対する社会のイメージを変えるに足る影響力を持てず,論理的思考力や表現能力が乏しいことに起因しているのではないかと考えた.そしてそのような能力は,学生時代にこそ修得することが望ましい.そこで私たちは,論理性や表現能力が必要とされる「弁論」に着目した.弁論をするということは,自らの考えを構築し,表現するという能力が必然的に求められる.そして弁論を通し,さらに看護のあり方を,広く社会に訴えていきたいと思った.
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