解説 情報化時代に備えて 2
医療における情報処理
水野 哲夫
1,2
1中央大学・経済学部
2中央大学・保健・公衆衛生学
pp.441-448
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200215
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情報処理とは?
われわれがパンを食べる場合,小麦粉のままでは食べるのに不適当であるので,小麦粉に水・イースト菌・塩・砂糖・油脂などを加え,天火で焼くという処理を施して,パンの形にして食べる。処理を行なってパンの形にしてこそ,初めてわれわれの口にはいる,すなわち役にたつのである。もちろん,小麦粉のままでもむりをすれば食べられないことはない。しかし,小麦粉のまま食べてもまずいだけでなく,不消化で栄養学的にも不経済だし,食欲なども起こらない。"情報"もこのパンの例と同じである。生体から収集されたばかりの生の情報は,小麦粉の段階である。そのままの形では役にたたないことが多い。そこで,生の情報にいろいろな処理を施して,役にたつ情報に作り直す。ある一部の人は,生の情報を"なま"情報information,処理を受けたあとの情報を組み合わせ情報intelligence,と呼んで区別している。
情報処理はふつう次のプロセスをたどる。最初にいろいろな情報路から収集された情報の信ぴょう性をチェックする。このチェックされた情報を転記し,次いで四則演算arithmetic operation――加減乗除――,論理演算logical operation――突き合わせ・比較・選択・分類・組み合わせなど――を行なって目的に沿った質の高い資料とし,記録する。
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