特集 魅力ある講義を
私の講演法―あまり明かしたくない私の極意
少し背伸びをしつつ,知識や経験をおりまぜて
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.474-476
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900079
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多数の聴衆の前で,あるテーマのもとに話をする講演は,何回場数をふんでも,その度に緊張するものである.私にとって初めての体験は,今からちょうど20年前,現役の看護婦であった頃である.県の看護協会の研修会に引っ張り出されたのが最初であった.怖いもの知らずの強心臓.思い出しても汗顔の至りである.大きなテーマだった上,きちんと消化しきれないままに壇上に上がってしまったのだから.さいわい,暖かい聴衆のまなざしと,一心に聞いて下さる態度に励まされて,何とか大役を果たし終えた.
その後フリーになってからは,講義をはじめ講演の機会も増えてきた.講演とか講義のよさは,書物を媒介とした著者との触れ合いとは違う点にある.聞き手は講師と場を同じくし,時間の経過を共有しながら,直接触れ合って,その考え方を聞くことができる,ただ,録音でもしない限り,話した内容は消え去ってしまう.講師から見れば,どの程度相手に受け入れられたかどうかを,確認できないことが多い.
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