実践報告
ライフログを活用したメンタルヘルス管理演習
近藤 美保
1
,
遠藤 りら
1
,
長澤 利枝
1
,
村方 多鶴子
1
,
篁 宗一
1
1静岡県立大学看護学部 精神看護学領域
pp.162-166
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201429
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学生の実情に則したツールの活用
看護学生が自身のメンタルヘルスに関心を向けるには、どのような方法が効果的だろうか。授業の開始直前までスマートフォンを見つめ、授業中にはウトウトと疲れた様子の学生を見ていて、教員として意欲がそがれる思いがした。こんな思いをもったのは、当時私自身が学生のことをよく知らなかったからだと、今は思う。
2017年度初頭に、筆者は静岡県立大学看護学部(以下、本学)の精神看護学演習でウェアラブル端末を活用した授業を担当することになった。精神看護において、検査データやバイタルサインなどのように客観的データをもとにアセスメントできることは少ない。しかし、ウェアラブル端末を活用することで睡眠状態を主観データと合わせて活用することができるのではないかと考え、その導入を決めた。なお、ウェアラブル端末とは、wearable、すなわち腕時計型やリストバンド型で身につけることができる機器のことであり、ライフログ(生活行動記録)を数値化できる。脈拍や睡眠状態、歩数の測定など、活動状況に関する生活行動が数値化され、記録される。数値化されることにより客観的に生活の様子を確認でき、また医療現場で用いられるようなポリソムノグラフィなどを用いずに、睡眠の状態が簡易な方法で負担なく記録できることが特徴である。最近では、連動したスマートフォンのアプリを使用して、生活行動記録、ライフログを簡単に作成できるようになっており、ライフログは健康管理の方法として浸透しつつある。特にスマートフォンを活用する学生にとって、ライフログの作成は健康を保つための身近な手段となる可能性があると考えた。
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