連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・24【最終回】
肺―ふくらんだままのスポンジ風船
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京造形大学彫刻専攻領域
pp.973
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201373
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肺は、胸郭内にややふくらませた状態で留められた風船のような臓器です。ただし、その内部は肺胞という極小の袋の集合体で、細かい泡が固まったスポンジに似ています。胸郭が呼吸筋の働きで拡張すると、内部の圧力が下がって肺がふくらみます。ふくらんだ肺は、その弾性によって縮もうとします。
まず、粘土でドーム状の土台を作り横隔膜とします(①下)。次に、胸郭を上が尖った卵形に作り、前後から押して扁平にします。後ろ側は背骨が通る部分に深い縦溝を刻み、底面は横隔膜のカーブに合わせて深くえぐります(②)。これを正中で半分に切って左右の肺にします。切断面を整えながら、気管支が肺に出入りする肺門を形成します。左右の肺の間には心臓や気管、食道がはさみ込まれています。心臓は若干左に寄っているので、左肺の内側を大きく凹ませます。心臓を涙形に作り、これを横隔膜の上に乗せ、左右の肺ではさむように調節します(①)。
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