連載 医療通訳inバンクーバー・7
カナダの医療制度
高橋 麻貴子
1
1Trans Med
pp.863
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201344
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眼の調子がわるいときには眼科医院へ、肌あれのときには皮膚科医院へ。日本ではあたり前のことと思われますが、カナダでは患者が専門医を選んで受診することはできません。カナダでは原則的に、どのような症状であってもまずは「ファミリードクター」(家庭医)に診てもらいます。それぞれの地元には信頼のおける、いわゆる総合診療医がおり、予約して診察を受けるのです。家庭医は通常の診療を行うほかに、尿検査や血液検査、X線撮影、MRIなどの検査指示を出したり、緊急時には応急処置をしたり、必要に応じて専門医へ紹介状を用意したりします。
総合病院は、救急患者の処置(緊急外来)や専門的な検査・手術を行うことを目的とするため、救急以外の外来患者の診察や治療は行いません。また、患者が直接専門医のところへ行っても、紹介状がなければ診察をしてもらえません。専門医は重症患者や専門的な治療が必要な患者を診察し、家庭医は軽度の病気を診察する、というきわめて合理的な医療制度をとっています。
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