連載 臨床倫理を映画で学ぼう!・3
患者のナラティブに向き合う―『彼女が目覚めるその日まで』
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.238-239
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201201
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作品紹介
今回は『彼女が目覚めるその日まで』(ジェネラル・バレット監督、2016年、カナダ・アイルランド合作)です。21歳の女性が突然、希少難病に侵され、周りから誤解され入院して精密検査をしても診断がつかず、精神疾患と誤診され廃人になりかかっているところを、一人の医師の診断と治療で救われる物語です。実話にもとづいた作品です。
スザンナ・キャラハンは新聞記者として働いています。仕事も恋愛も順調だったある日、彼女は突然体調を崩します。意識変容、記憶障害(文章が書けない、原稿〆切や大切なアポイントメントを忘れる)、幻覚、不眠、時間と場所の失見当識、しびれ、めまい、不安定な感情状態、そして全身性痙攣と意識喪失が出現しました。仕事でも大失敗して家庭療養を会社から命じられますが、嵐のような彼女の精神状態に家族も対応しきれません。
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