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書評 ─『看護師のための不穏・暴力対処マニュアル[Web動画付]』─怯えるのではなく,予防し軽減するための手引き書
佐居 由美
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1聖路加国際大学看護学部
pp.397
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200983
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私が長年取り組んでいるテーマは,看護における「安楽」なケアである。不穏や暴力は患者の安楽と対極にあるが,どのような内容なのだろうかと思いつつ,本書のページをめくった。すると,「まえがき」には,「殴る・蹴るのみならず,怒鳴ったり,ハラスメントも,人としての尊厳を踏みにじる行為で暴力であり,医療従事者は守られるべきである。患者の暴力は精神症状によるものがあり,認知症やせん妄による興奮は,精神科以外の診療科でも避けられない精神症状である」といった記述があり,本書の対象が精神科ナースに限定していないことが読み取れた。
本書では,総論として「暴力を起こす患者の心理」「不穏・暴力の対処手技使用の前提となるプロセス」などが述べられ,各論では,事例をあげて暴力と不穏時の対処方法を紹介している。「カテーテル類を自己抜去しようとしているとき」など,精神科に限らず一般病棟でも遭遇する場面への対応が具体的に紹介され,Webで動画を観ることもできる。
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