特別記事
司書のいる専門学校図書室の可能性─チーム看護教育をめざして
伊香 祐子
1
1滋賀県堅田看護専門学校図書室
pp.786-794
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200300
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はじめに
私は琵琶湖の西にある看護専門学校に勤務する16年目の司書である。
大学設置基準において「図書館には,その機能を十分に発揮させるために必要な専門的職員その他の専任の職員を置くものとする」(第三十八条第一項第3号)と定められているのに対し,看護専門学校を対象とする看護師等養成所の運営に関する指導要領には,課程ごとに最低限有すべき図書の冊数,および「図書は,適宜補充し更新すること」という文言しかなく,司書を配置するかどうかは個々の学校の判断に任されている。
教員より「看護学校に司書がいるなんて珍しい」とよく言われるが,3年課程および2年課程における司書の配置状況を調べてみた。日本看護協会によって行われた1991年看護教育調査1)ではわずか16%しかなく,続いて2000年看護教育基礎調査2)で31%に増加した。その後,和気らが2008年に全国の通信制を除く2年課程以上の看護師養成所に対し行った調査3)では,37%(専任21%,兼務16%)であった。つまり,専門学校出身で40歳以上の看護教員の大半は,看護学生時代に学校で司書と接した経験がないと推測される。
このような環境において,専門学校では学生に「図書室へ行きなさい」と指示しながらも,実のところ図書室の効果に疑問をもつ教員もおられると感じることがある。そこでまず,図書室が果たす役割とその可能性について述べることにする。
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