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「他の大学の子って何しているんだろう」。将来,ちゃんと看護師になれるかどうかなどを考え始めた大学1年の冬に感じたことです。周りに他の大学・専門学校の友人がいなかったからこそそう思ったのかもしれないし,当時は大学があまりにハードだったから,「こんなに辛いのは私のせいじゃなくて大学のせいなんだ」と思いたかったのかもしれません。そんな気持ちもあって,看護学生団体IONの立ち上げにかかわって早3年。看護学生同士が大学・専門学校間を超えてネットワークをもつことの重要性を実感しています。
他の学校の看護学生とかかわり始めてまず驚いたのは,授業の多様さです。総合大学であれば1年次の授業は他の学部と一緒,医学部のある大学では医学部との合同授業があり,実習期間も受けているカリキュラムも学校ごとに大きく異なることを初めて知りました。他の学校のIONメンバーに話を聞けば聞くほど発見の連続。そんななかで印象に残っているメンバーの言葉は,「学校のなかで『何か違う』と思った子がこういうところに来るんだと思う。私は自分の学校以外を知らなかったら今頃看護師なんて嫌いになっていたし,大学辞めてた」というものです。確かに,大学や専門学校のなかで先生方からの一方的な「看護とはこうである」という理論に疑問をもったとしても,それを直接先生に尋ねるのはハードルが高い。さらにグループワークや実習といった,人間関係が重要となるカリキュラムが多い看護学部では,そのグループでうまく馴染めないと感じることが「看護師に向いていないのかも」という心配にまで至ってしまうことも少なくありません。もちろん人間関係をうまく保つコミュニケーションスキルは看護師になるうえで必要なものではありますが,居心地良く感じる場所は人それぞれ。同じ看護学生という枠組みのなかであれば,多数のつながりをもつことで居場所の選択肢も広がり,それが普段の勉強や実習へのモチベーションになることもあるように思います。
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