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日本とアメリカにおける看護師免許試験の違い
看護師を目指す者が,絶対に避けては通れないものの一つに資格試験がありますが,日本とアメリカでは,この試験においてさまざまな違いがあります。みなさまご存知の通り,日本では看護師の試験は国家試験であり,受験者全員同じテストを毎年2月中旬の同じ日に受け,マークシート形式になっています。合格したら,厚生労働省から看護師免許が発行され,取得後に書き換えなどはありません。一方で,アメリカの看護師免許は,州ごとに発行され2年ごとの更新が必要です。現在は,アメリカの看護師試験(NCLEX-RN : National Council Licensure Examination-Registered Nurse)はどの州もコンピュータ形式になっており,州の看護協会から指定されているテストセンターで受験することができます。試験は毎日おこなわれており,自分の都合がいいときに,webサイト上でテストセンターの空き状況を確認しながら受験日を選ぶことができます。また,日本では,不合格になると次の年まで待たなければいけませんが,アメリカでは,45日空けると,また受験することができます。不合格になったときに,1年待たなければならないとなると,それだけで,精神的に大きなプレッシャーになってしまいますが,アメリカのように,不合格になっても同じ年に再受験できたり,受験日を一度予約しても変更できたりするのは,とても簡便でかつ合理的なシステムだと思います。
先に,コンピュータ形式と書きましたが,NCLEX-RNは,最低75問,最高265問が出題されます。受験者により,回答する問題数が違ってくるのです。最初の75問で合格点に達すると,そこで自動的に終了となります。逆に,点数があまりにも低い場合も終了となります。合格点に達しなかった場合は,テストは合格点に達するまで続行します。コンピューターでプログラム化されているので,それぞれの受験者に合わせて問題が出てきます。正答だと次に少し難しめの問題が出てきたり,間違った問題は同じような問題がまた何問か後に出てきたりします。私自身,日本とアメリカ2国で看護師免許の試験を受けましたが,個人的には,アメリカのシステムを支持しています。日本の看護師試験も,NCLEXのさまざまな利点を取り入れたら良いと思うのですが,同時に日本の“新人一括採用”,つまり新人看護師は皆4月から働き始めるという形態の変化も必要だと思います。たとえ1年に何度も国家試験を受けられて年の途中に合格しても,この雇用方法が変わらなければ,働き始めるのは結局次の4月まで待たなければならないという問題が出てきてしまうからです。
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