- 有料閲覧
- 文献概要
【主要論文】「少数派の再建:看護における文化的多様性の新しいモデル」から
現在グローバル化が進み,さまざまな文化や民族の人々と接する機会が増えてきています。異文化について学び,皆がお互いの異なる文化を理解して少数派も多数派も共存できる社会が理想ですが,ある社会集団のなかで少数派として生活している人々は,多数派の人々と比較するとさまざまな困難な境遇に置かれています。今回ご紹介する記事は,ニュージーランドの看護大学において,少数派の民族として大学に入学した学生がどのようにしたら学業で成功を収め,看護師資格取得までに至るかを,文化的多様性の観点から新しいモデルを作成して説明し,さらにそれがヘルスケアシステムにおいても適応できるという記事がありましたのでご紹介させていただきます。
Margaretは,少数派である者に対して,「その他」というとらえ方ではなく,社会において多数派の文化と少数派の文化の「中間に位置する」者としてとらえることが大事だと述べています。少数派の人々はこのような「中間に位置する」存在として自分自身を確立するまでには困難に直面することが多々ありますが,それが看護教育,看護実践において変革をもたらす重要な可能性を秘めていると述べています。少数派であることを,ある社会集団において端にいる者としてとらえるのではなく,創造や変革をもたらす社会の相互作用の要の位置にいる存在としてとらえることで,社会全体に貢献することができます。これは,実際に少数派の看護学生がどのようにしたら看護学校で成功を収めるかを研究して開発された新しい考え方のモデルですが,筆者は看護学校だけではなく,ヘルスケアシステムにおいても同じことがいえると述べています。ヘルスケアシステムにおける弱者は,多数派のコントロール化のもとでヘルスケアサービスへのアクセスが制限されるだけではなく,自尊心を失うなどネガティブな経験を繰り返すことになります。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.