第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
成長への扉
角川 順哉
1
1行岡医学技術専門学校 看護第1学科3年
pp.700-701
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102475
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看護師は,患者やその家族との出会いや,関わりのなかで成長していくものであると,実習のなかで学んだ。
それは実習のなかで,最も期待していた小児看護学実習である。病院実習が始まる前に保育園で健康な小児と関わった。子どもたちの笑顔溢れ,活発に明るく成長する姿にふれ合っていたからだ。だから私は,病棟での疾患をもつ小児との関わりのなかでも,いくらか子どもの明るい笑顔が見られるものだと思っていた。しかし悪性脳腫瘍の再発,そして骨髄転移している幼児を受け持ち,そのイメージは,実習初日に覆されることとなった。初めて病室を訪れたとき,ベッドに横になっている子どもの姿に大きなショックを受けた。これからどうやって接していけばいいのか,自分に正しい援助ができるのだろうか。それまでの実習でももちろん不安はたくさん感じたが,今回のそれは今までのものとは違う,何か言葉で言い表せない思いがあった。受け持った子どもには母親が泊まり込みで付き添いをしていた。私は自分の感じている気持ちを悟られないよう,表情をつくっていた。なぜなら私の気持ちを知ることで,母親は傷つくと感じたからだと思う。
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