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はじめに
質の高い看護師を養成するためには,その担い手である専任教員の資質向上は欠かせない。富山県内の看護教育機関は,看護教育の充実,向上に寄与することを目的に,1981(昭和56)年11月,富山県看護教育機関連絡協議会(以下,看教連)を設立し,約30年間活動している。
近年,県内の看護教育責任者の間で,専門看護師・認定看護師が誕生してから徐々に臨床から教育現場への異動がうまく進まないことや教員の大学院進学などで,教員不足が懸念されている。また,臨床でのラダー制度とリンクしないことなどから,教育現場でのキャリアが臨床で評価されにくいこともあり,教員のモチベーションの維持が難しくなってきたとの声とともに,看護教員のキャリア形成プログラムの必要性が話題となることが多くなった。
それぞれの自校での取り組みに限界を感じていた幹事たちから,看教連でプログラムを作成できないものかとの提案があった。しかし,看教連は,独立行政法人立・県立・市立・私立と設置主体も違い,参加12校のうち9校が1学年40名以下の小規模校であり,看護教員数は10名前後と少なく,どのようなものを作成すれば看教連参加校すべてで使えるものになるのか,手立てはまったく見当がつかなかった。
このとき,幹事全員が,『看護教育』49巻8号(2008年4月)から始まった東京都立の組織的活動の連載を学校運営の参考にしていたことから,東京都立看護専門学校のプログラムを学ぶことから始めたいと,当時学校長をしておられた齊藤茂子先生(現東京工科大学医療保健部看護学科教授)の指導を仰ぐことにした。
その結果として,現在看護教員のキャリアアップのためのファカルティ・ディベロップメント(FD)をめざし,2010(平成22)年から3年間かけて「看護教員のキャリア形成プログラム」を作成し活用を始めたところである。作成は,看教連の事業の一環として,齊藤先生の指導のもと研修生である看護教員が作成し試行・検討を重ねてきたものである。
本連載では,なぜ作成主体が看教連となったのか,どのような過程を経て作成したのかから,具体的なプログラムとともに導入の経緯,改善プログラムの実施まで紹介する。
今回は,看教連の歴史および事業の変遷を,10周年,20周年,30周年記念誌を基に述べる。
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