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はじめに
今回は,引用・参考文献の使用が求められるレポート課題に学生が取り組む際に,非看護系教員である筆者がコミュニケーション教育アプローチ1)の観点から行った支援例を紹介する。私が看護学のレポート課題を支援した際に考えたことや得た学生の声を報告するのは,初年次看護学生が看護系教員には直接伝えていないと思える疑問,質問等を読者の皆様に紹介し,指導法で振り返る一つのきっかけになればと思っているためである。
私は,看護学のレポートの直接の評価者ではなく,また,学生寄りの支援者という立場で接したため,学生は恥ずかしがらずに,素朴な疑問,質問,悩みを投げかけてきてくれた。この学生の声は,引用・参考文献に関する学生の認識の仕方の傾向を把握し,適切な指導法をデザインする際のヒントになると私は考えている。この報告が,看護教員の方々が学生の現状,とくに書き方以前の問題をより深く認識し,授業をデザイン・実施する際の参考になればと思う。
そこで,引用・参考文献の用い方に関して,まず私が担当した初年次看護学生の「書き方以前の問題」をコミュニケーション教育アプローチの観点から洗い出す。その後,日本語学の授業において,引用・参考文献の用い方に関して,私が学生に投げかけた問いと,学生から提示された疑問・悩みを報告する。
先に一点補足しておきたいことがある。私が看護学のレポートを支援する形で授業を展開したのは,引用・参考文献を調べレポートに反映させるには,知的好奇心が刺激されることや必要性を実感し動機づけられること,そして物理的な時間が非常に重要だと判断したためである。そのため,練習のための課題よりも,実際に専門科目で取り組み評価の対象となる課題を支援する形を取ることにした。働きかけは,レポート執筆のプロセスにおいて,引用・参考文献の使用が必然的になるタイミングで行った。
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