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はじめに
社会福祉法人北海道社会事業協会帯広看護専門学校(以下,当校)は,社会福祉法人北海道社会事業協会の一組織として,北海道広域の地域医療を担う看護師の養成を目的として設立された。当校は看護師養成所3年課程,1学年30名定員であり,臨地実習の基幹病院は,同組織の社会福祉法人社会事業協会帯広病院である。
2009年度の保健師助産師看護師等学校養成所指定規則の一部改正を受け,当校においても医療安全に関わる知識・技術を1年次から3年次まで段階的に修得できるよう,学習内容の見直しを実施した。それに伴い2010年度に石川雅彦先生(当時,日本医療安全研究所)の協力を得て,第2学年30名を対象に新たに設定した看護の統合と実践の分野の科目「医療安全」の講義・演習を実施した。
教育内容は,実践的医療安全トレーニングのなかから「RCA:Root Cause Analysis,根本原因分析法」と「MITT:Medical Interdisciplinary Team Training,医療領域における職種横断的なチーム・トレーニング法」を実践した。終了後には,学生が各々の体験を共有し合い,「医療安全について楽しく学ぶことができた」との反応も得られた。
今回の講義・演習によって,学生が感じていた「インシデントへの過剰な脅威」が軽減され,「インシデントは未然に防止することが可能である」「インシデントから何を学ぶべきか」という前向きな思考へ変化するという結果が得られた。ここで得られた学生の“気づきの芽”を育て,具体的な医療安全への取り組みへとつなげるために,その後継続的にどのような学習支援が必要か,検討を試みたので報告する。
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