連載 実習の経験知 育ちの支援で師は育つ・8
ゆるく・楽しく・手厳しく
新納 美美
1
1東京大学大学院医学系研究科
pp.336-340
発行日 2012年4月25日
Published Date 2012/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102060
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忙しさとゆるさ
最近は,言葉の流行り廃りもスピーディで,オバサンになった私にはどうもついていけません。にわかtwitterで「仕事なう」などとつぶやいてみるものの,何となく自分のものにならずこっそり照れ笑い。芸能関係には特に疎いので,毎年発表される“流行語”のなかにも知らない言葉が……。「ワタシ的には流行りものより古いもののほうが盛り上がれていいなぁ」なんて,今では耳慣れた“的”の使い方も,調べてみれば2000年の流行語。流行り言葉のなかにも,10年経てば市民権を得られるものがあるようです。
この“的”のように,古くから辞書に載っているごく普通の日本語に,少しニュアンスの違う意味がつき,新しい用法が加えられることがあるようです。“ゆるい”もその一つで*1,主に若者の間で支持されています。象徴的なのは“ゆるキャラ”と呼ばれる土地オリジナルのキャラクターで,これが地域振興に一役買っているとのこと。私が最初に知ったのは彦根の“ひこにゃん”でした。昨年のゆるキャラ大賞に輝いた“くまモン”も可愛らしく,見る側も思わず脱力してしまうような独特の“ゆるさ”があります。“ふっ”と心身をゆるめてくれる“ゆるキャラ”は,とどまるところを知らないストレス社会に否定的な若者の想いを代弁してくれているかのようです。
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