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書評 ―『これならわかる!かんたんポイント心電図 第2版』―心電図と向き合う決心を後押しする
蜂ヶ崎 令子
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1聖路加看護大学基礎看護学
pp.391
発行日 2011年5月25日
Published Date 2011/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101758
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ICUに配属された経験のあるナースで,心電図に関する書籍を購入したことがあるという人は多いのではないだろうか。現に私もその1人である。看護学生時代にはPQRSTの波形とその意味を知るくらいで済んでいた。しかし,ICUナースとして臨床現場に出た途端,モニター上の心電図波形を瞬時に読み,緊急性が高いものか経過観察してもよいものかを判断しなければならなくなる。昨今の一般病棟は一昔前のICU並に入院患者の重症度が増している。「(死因はがんがトップだが)がんの患者さんにも心臓や血圧の持病がある人がたくさんいる。(中略)常に心疾患を意識していることが必要」と,著者の言葉にもあるように,いまやすべてのナースの前に“心電図という壁”が立ちはだかっているといえる。心電図は波形を読もうと向き合わなければ決して読めるようにはならない。しかし,向き合おうと決心することさえできれば,しめたもの。波形を読むポイントとコツを教えてくれる優良なテキストという味方をつければ,それほど手強い相手ではなくなるのではないだろうか。
私は会話式に書かれた書籍を読むのが実は少し苦手である。誰がどの立場で何を話しているのか混乱してわかりにくくなるからである。しかし,この本では,ナースとドクターとのやりとりが,かえってわかりやすさを増している。誰もが疑問に思うであろうことを,いいタイミングでナースがドクターに質問するのである。「心電図はどうしてアルファベットのAからではなく,Pから始まるの?」「サイナスリズム=正常なの?」「QRSの幅が広いと必ず異常なの?」などなど。ドクターはこれらにズバリ“快”答してくれる。
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