書評
―『ナースのための統計学 第2版』―統計学のミニマム・リクワイアメントがここにある
春名 めぐみ
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1東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学
pp.935
発行日 2009年10月25日
Published Date 2009/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101323
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髙木廣文先生の『ナースのための統計学』といえば,看護を学んできた私のような者にとっては,まさしく統計のバイブルのような存在ですが,何と初版から25年の時を経て,第2版を出されたということで,真新しい本を拝見させていただきました。初版本とは,ずいぶん体裁が変わり,書棚にしまっておくのがもったいないような素敵なパステル調の装丁になっていました。私としては,思わず笑ってしまうような挿絵のイラストが大好きなのですが,何よりも中の構成がずいぶん読みやすく工夫されて,とにかく見やすく,さらにわかりやすくなったと思いました。内容はといえば,基本的な構成はそのままに,ほとんど変わっていないそうで,髙木先生が「序」で述べられているように,用語に関していくつかの修正があったものの,基礎的な理論が変わるわけではないから,方法論としては変更の必要がなかったということをお聞きし,とても安心しました。
統計の基本は,目の前にある数値をどう読み解くかということであり,研究に限らず,看護の臨床で,そして私たちの生活の中のあらゆる場面で必要とされることです。母集団や標本,統計的推論につきものの誤差といった基本的な概念を理解することは,数値の変動の特徴を捉え,論理的に解釈していくプロセスの第一歩です。
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