特集 シミュレーション教材は進化する
―モノづくり現場のヒトたち―シミュレータはここで生まれる―株式会社京都科学本社工場を訪ねて
本誌編集室
pp.831-833
発行日 2009年9月25日
Published Date 2009/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101300
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
株式会社京都科学(以下,同社)の本社工場は,名水の産地として知られる京都市伏見区にある。良い水のある土地で工業が栄え,良い酒の産地に良い職人が集まるのは洋の東西を問わないようだ。本特集テーマ,“シミュレーション教材は進化する”その現場を伝えるために,本邦で唯一シミュレータの国産工場を有する同社を訪れた。2007年の『現代の名工(卓越した技能者)』(厚生労働大臣表彰)受賞者である鶴岡邦良氏(技術アドバイザー・特注製作責任者)はじめ,同社で働くひとびとの製作風景を収めたのが本項である。
同社創業のルーツは1891年,島津製作所での理化学教材用標本の製作開始に遡る。人体の生理的構造や機能を学ぶには,教師による講義形式だけでなく学生自身の視覚や触覚によって体感させる必要があるとした初代島津源蔵ら明治時代人の考え方は,今日のフィジカルアセスメント教育に繋がるものであろう。なお同社創業者の島津良蔵(初代の孫)は,東京藝術大学で彫刻を学んだ日本最高のマネキン作家・事業家でもあり,当時すでに世界的評価を受けていた同社の解剖模型技法を,ファッション業界にも導いた立役者となった。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.