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はじめに
看護教育の現場では,教員不足や学生の看護実践能力を育成するための教員の能力の問題や臨地実習における実習担当者との協働の難しさなど問題になっている1)。さらに看護教員の職務は,授業実践や実習指導の実施,学校行事の指導,生活指導,就職指導,教務事務など多岐にわたり,1人の教員にかかる責任と職務内容が多い。また,教員のストレスのストレッサーとして,教育行政管理や教室や職員室の数々の出来事,教員のサポート体制,教員間連携などが挙げられて,学校経営や管理体制にも問題が出ていると言われている2)。さらに,専修学校の看護教員の職業上のストレス要因を「学生対応」「職場環境」「教員資質」「多忙」「トラブル対応」「教育方法」「教員相互関係」「研究資源」「教育能力向上」と述べている3)。その中で職務遂行を行っていくことは,職務の量が過剰となっており,自由裁量,意思決定は少なく,さまざまな職務上のジレンマやストレスが発生してくると考えた。
看護専門学校の組織文化などの特殊性が指摘され4),組織の環境や人間関係や組織の管理体制などの問題が推測される。また,ストレス要因は,組織の管理や環境などから影響を受けていると考える。しかし,その組織のなかで働く看護教員の組織からの職務ストレスについての研究はされていない。
組織は,構造,過程,課業,人材および報酬といった諸要素の組合せによってデザインされる5)。組織デザインは,管理活動の一環であり,公式組織の活動に方向性と継続性を与えるための手段となっている6)。また,人材育成効果も生まれる7)。その組織デザインから分析して,職務上のストレスを明らかにすることによって,看護教員の職務上のストレスが軽減できる看護師養成所の組織の再構築の視点となり,看護教育の質の向上につながると考えた。
そこで,組織のデザインから分析した看護師養成所の看護教員の職務上のストレスを明らかにすることを目的として,看護教員を対象に,非構造化面接によるデータ収集を実施し,得られたデータを質的に分析し,看護教員の職務上のストレスについての示唆を得た。
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