看護教育研究
看護職養成機関における感染症予防対策の実態―臨地実習で麻疹流行を起こさないための方策
村上 弘之
1,2
,
安藤 郁子
2
1東京警察病院看護管理課
2元上武大学看護学部基礎看護学
pp.604-610
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101239
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はじめに
2007(平成19)年4~7月の4か月間,南関東から全国各地に麻疹の流行が拡大し,高等学校や大学を中心に263校が休校した。このことから,学内における麻疹感染予防対策は不十分である実態が,大きく注目された。2007年度成人麻疹の報告症例における看護職養成機関で学ぶ看護学生が属する15~24歳までの年齢別割合は,全年齢の54.8%を占めていた。病院や医療介護,保育施設等での臨地実習を必須とする看護学生は,実習中自らが感染するリスクと,患者に感染させるリスクの双方を抱えており,看護職養成機関には,感染症流行に関わらず平時から麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎(以下,ムンプス),結核等に対する迅速且つ効果的な対策が求められている。
看護学生に対する感染予防対策の現状と問題点を明らかにする目的で,これまで看護系大学と看護短期大学を対象にした質問紙調査が行われてきた1─3)。2008(平成20)年4月現在,全国には167もの看護系大学が開学しているが,大学での看護師養成数は全体の14.9%4)と看護師養成の中心は今もって3年課程の看護専門学校であり,准看護師養成所も健在である。
われわれは,看護職養成機関全体に占める看護系大学数を鑑みると,これまでの調査結果では看護職養成機関における感染症予防対策の現状は必ずしも明らかにされていないとの結論に達した。そこで今回,准看護師養成所を含めたすべての看護職養成機関で学ぶ看護学生に対する感染症予防対策の現状と問題点を明らかにし,問題点について考察を行ったのでここに報告する。
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