連載 演習を通して学ぶ看護援助の基礎のキソ・2
看護基礎教育における看護援助の基礎(その2)
川口 孝泰
1
,
佐藤 政枝
2
,
小西 美和子
3
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
2首都大学東京健康福祉学部
3近大姫路大学看護学部
pp.424-427
発行日 2009年5月25日
Published Date 2009/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101198
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演習を通して学ぶことの意味
今回は,連載のタイトルにもなっている「演習を通して学ぶ」ことの教育的な効果について考えてみます。一般的に「演習」とは,数人のグループをつくり,授業の内容・目的に即して,調査したり体験したり実験したりして,その結果をレポートする授業形態です。この方法によって期待される教育効果は,設定された課題に対する学生の積極的かつ自主的な取り組みによって,能動的な学習態度を引き出すことです。例えば,実験や模擬体験は,五感を通じた知識の再構築を促します。また,グループによる学習は,学生のコミュニケーション能力の向上を図ることにつながります。さらに,学生参加型の授業展開によって,他人に自分の考えを正確に伝えるための論理的な思考法を身につけると同時に,社会的倫理の自覚を促すことも期待されます。
「演習」による教育は,大別すると3つの方法が考えられます(図1)。1つ目は,「フィールドワーク」です。この方法は,身のまわりの生活世界を実地調査するものです。この学習方法の特徴は,自分が当事者であるという意識を獲得することに主眼が置かれます。自分で調査を企画し,問題点を把握し,計画に基づいて調査を実施し,調査前に設定した仮説を実際の結果と照らし合わせて客観的に考え,適切な解釈ができ,プレゼンテーションができる能力を養います。これによって,科学的な研究の視点が養われることにもつながります。
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