特集 災害看護論の定着に向けて
災害は身近で起こるもの―「祭り」からの災害看護教育へのアプローチ
中山 伸一
1
1兵庫県災害医療センター
pp.1110-1115
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101080
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はじめに
災害医学は救急医学,外傷学,精神医学,社会医学などを含む非常に幅広い学問であり,かつ実践医学である。その教育の重要性への認識は,阪神・淡路大震災以前とは比べようもないほど高くなった。その流れから,看護教育の正式カリキュラムとして「災害看護」が採用されることとなったと言える。
では,看護学生にいかに教えるのか?教えるほうも,教えられるほうも,災害の実体験をもっているとは限らない。というよりむしろ,体験者は少数派だ。では,教育できないのか?それでは困る。将来,どんな専門のナースを目指そうとも,看護師なら全員が対応しなくてはならないのが,災害医療なのだ。教材として何を取り上げればよいのか?最近起こったホットな災害は確かに良い教材だ。しかし,それだけで充分をも思えない。災害を我が身に降りかかることとして捉えさせるにはではどうすれば……?現場の教員であるあなたも,きっとこのように自問自答されているのではあるまいか。
本稿では,その足がかりの1つとして,ふだん「災害」とは切り離して捉えている楽しい「祭り」を採り上げ,「祭り」が身近な災害医療教育の材料になり得ないか,考えてみたい。
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