特集2 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
級友の死とぼくらのグリーフ・ワーク
木下 紀道
1
1津島市立看護専門学校(投稿当時)
pp.690-691
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100984
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看護学生の一年は忙しい。2008年最初の授業日は何の式典もなく,いきなり運動器疾患のテストで始まった。ぼくたち学生はまだ正月気分の抜け切らぬまま,憂鬱な気分で久々の学校に足を運んだ。しかしそこにはテストより遥かに厳しく辛い現実が待ち受けていた。それはあまりに突然すぎる,大切な級友の死だった。
悲報は試験終了後,副担任のM先生より静かに伝えられた。祈りにも似た驚きの声が教室内に空しくこだまし,やがてすすり泣きがクラス全体を覆いつくした。ぼくは稲妻で脳天を直撃されたかのような衝撃と,それに続く“身体的知覚をまったく欠いた激烈な頭痛”に打ちのめされた。それはどこにも身の置き場を見出せない,不快で,非現実的な感覚だった。
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