特集 精神「科」看護を教えるということ
「精神疾患患者」とは何者か―実習で出会う人の輪郭を知る
永井 順子
1
1旭川大学保健福祉学部コミュニティ福祉学科
pp.589-591
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100957
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「精神疾患患者」ってどんな人?と聞かれたら
筆者は医療や看護に従事した経験はないのだが,精神保健福祉を研究領域としており,精神科医療のユーザーと接した経験のない方から「精神の病気の人ってどんな人?」と尋ねられることがある。「○○さんってどんな人?」という問いに対してなら,さまざまに答えようがあるが,「精神の病気の人一般」がどんな人であるかは,なかなかひとくくりに言えなくて困る。迷った末,「普通の人だよ」と答えることも多い。精神科看護実習を控えた学生を前に,似たような経験をされた教員の方も少なくないのではないだろうか。
「精神の病気の人一般」を説明することが困難であるのは,1つには「精神疾患患者」という言葉を字義通りに説明することが難しいためであろう。精神疾患とは,「精神上,心理上及び行動上の異常や機能障害によって,生活を送る上での能力が相当程度影響を受けている状態を包括的に表す用語」とされ,疾患という言葉の厳密な意味よりも広い。その広義の意味での「精神疾患患者」とは「精神障害者」とも言い換えられている1)。
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