連載 スクリーンに見るユースカルチャー・13
共通点を探すということ
小池 高史
1
1横浜国立大学大学院教育学研究科
pp.655
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100721
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『エレファント』は1999年にアメリカ・コロラド州のコロンバイン高校で起こった銃乱射事件をモチーフとしている。とはいえ,事件の犯人が主役なのではなく,彼らは登場人物の一人にすぎない。また物語の最後に起こる事件も,いくつかの出来事のなかの一つという位置どりである。
ある日,ある高校(舞台はコロンバインではない)で事件が起こるまでのアメリカの高校生の学校生活が淡々と描かれる。印象的なのは,ここに表われるアメリカの高校と日本の高校が随分異なった様子だということ。これがアメリカの高校の典型であるか,またコロンバイン高校が同じような様子であるかは知らない。だが少なくとも私の通った高校とは大分様子が違う。例えば,後者の入り口に受付のようなところがあり,そこへ外出届を出して生徒が外出するという場面がある。制服はないし,出入りも比較的自由であるようだ。日本でいえば,高校と大学の中間という印象だ。
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