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はじめに
グループワークの活動の主な目的は,個人の成長や社会的適応を図ること,グループの活動を社会的に望ましいとされることのために活用することとされている1)。
社会福祉の現場では,グループの機能を利用してグループメンバーの問題解決を図る援助技術の一つとして,広くグループワークが用いられている。昨今では,学校の授業における教育手段としてグループワークが頻繁に用いられているが,特に,主体的な学習への取り組みや学習意欲の向上を意図して行われている2, 3)。
看護教育の現場においても,グループワークを効果的に活用した事例の報告は多く見られる。だが,本来のグループの機能が活かされないただの集団作業としてのグループワークであるとすれば,その学習効果は低いであろう。
武井4)は,看護教育においてグループワークの理論や技法を学ばずに行われるグループワークの多用について批判的に述べており,藤野5)は,看護教育においてグループワークに困難や戸惑いを感じている学生が少なからずいると述べている。そこで本研究では,学生のグループワークの負担感を測定し,大学生,特に看護教育におけるグループワークのあり方について,知見を得ることを目的とする。
グループワークの負担感の測定については,藤野が開発した尺度を参考にしつつ,その尺度において重きのおかれていないグループワークの作業の多さ,時間的な切迫感,作業分担の公平性という点が,学生のグループワークの負担感をはかるうえで重要と考え,新たに尺度を開発する。開発した尺度を用いた測定から,まず,大学での看護教育におけるグループワークの実態を明らかにし,学生がどのように負担に感じているかを検討する。さらに,グループワークの負担感とソーシャル・スキルとの関係を検討する。すなわち,ソーシャル・スキルが低い学生ほど,グループワークを負担に感じることが予想される。
また,グループワークは負担になるだけではなく,何らかの学びや成長,満足感などをもたらす肯定的な面もあると考え,グループワークの負担感とグループワークの効用との関係についても検討を加える。
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