増刊号 Common Disease 200の治療戦略
代謝・栄養障害
高脂血症
末廣 正
1
1高知医科大学第2内科
pp.374-377
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904124
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疾患概念と病態
コレステロール,トリグリセライドはいずれも血中ではリボ蛋白という複合体で存在している.リボ蛋白のうち,コレステロールエステルを多く含有するLDL(low density lipoprotein)はマクロファージなどを介して動脈壁に沈着し,粥状硬化巣の強い進展因子となる.血中コレステロールの増加が冠動脈疾患の発症率を高め,逆に,コレステロールを下げることにより,その発症率を減少させ得ることが疫学的に証明されている.高トリグリセライド血症も低HDL(high density lipoprotein)コレステロール血症とともに動脈硬化の危険因子であることが示され,特に肥満,耐糖能異常,高血圧などの危険因子と重複することにより,冠動脈疾患の発症を助長することが明らかにされている.すなわち,高脂血症の主なる治療目的は,動脈硬化性疾患の発症・再発を予防することにある.また,著しい高トリグリセライド血症,特に高カイロミクロン血症では膵炎を引き起こすため治療の対象となる.
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