連載 私の一冊・15
医療に大きな黒船と熱き志士たちを!
田中 祐次
1
1東京医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門
pp.452-453
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100263
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- 文献概要
活字の虫である父の本棚に置かれた分厚い本たちの中にあったこの本には,医師になった今でも強く影響されています。初めて読んだ10代の頃は,坂本竜馬という一人の人間に魅せられ,幕末の志士たちに魅せられ,心を熱くしたものです。そして10年以上の時を経て,この本から影響を受け続けているのは,現在の「自分」と「医療界」が当時の「志士たち」と「幕末」とにオーバーラップしているからかもしれません。『竜馬がゆく』は,初めて読んでから15年以上経った今でも「私の一冊」なのです。
私は1994年に医師になり,内科研修後に東京大学医学部血液腫瘍内科に入局しました。大学院では癌免疫療法を学び,駒込病院血液内科のスタッフとして数年働いた後にアメリカのDuke大学に研究留学をしました。先日,留学から戻り,今は東京大学医科学研究所に勤務しています。私の新しい職場は,2005年10月に開設された,探索医療ヒューマンネットワークシステム部門という寄附講座です。講座名だけでは何をする場所なのかわからないと思います。助手のポストに誘われた時にボスから言われたのは,「何をしてもいい」でした。すぐさま私は「では,患者会をやりたい」。驚いたことに,ボスは大いに賛成してくれました。
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