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登場人物
A 大学教師:教育関連学部で社会学を教えている。50歳代,男性。
B 大学生:教育関連学部の4年生。20歳代,男性。
はじめに
A 今回は,スウェーデンの中学校の教科書『あなた自身の社会』という本を取り上げましょう。新評論という出版社から,1997年に日本語に翻訳されたものが出ています。
B どうして,この本を取り上げるのですか?
A 前々回と前回,「世界青年意識調査」の結果を考察したわけですが,日本とスウェーデンの結果が大きく違いました。同じ18-24歳といっても,考え方や行動にきわだった差がありました。そこで,その原因を探りたくて,スウェーデンの青少年や教育についての文献を探していたら,この本をみつけたというわけです。
B 中学校の教科書ということですが,何歳の生徒が使うのですか?
A この本には,翻訳者の川上邦夫さんの詳しい解説,「『あなた自身の社会』の周辺」がついているのですが,それによりますと,スウェーデンの基礎学校の8学年目で使用されたそうです。基礎学校は義務教育の学校のことで,修学年限は9年です。7歳から16歳までということですから,この本は14-15歳の生徒たちのクラスで使われたということになります。日本でいうと,中学3年生です注1) 。
B 中学の教科にもいろいろありますが,日本でいうと,どんな教科にあてはまりますか?
A 中学の社会科の中の「公民」にあたると思います。そこで今回,日本で現在使われている中学の「公民」の教科書を2冊用意して,スウェーデンと日本の比較も試みることにしました注2) 。
中学の社会科は,日本ではあと「歴史」と「地理」が,スウェーデンでは「歴史」と「地理」と「宗教」があります。スウェーデンでも日本と同じで,数種類の教科書の中から,使われる教科書が選ばれるようです注3)。また,現在,2005年時点でも,この教科書が使われているかどうかはわからないので,そこのところは,あらかじめお断りしておきます。
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