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はじめに
地域保健対策の新たな枠組みである地域保健法が,平成9年4月から施行され,同年12月には介護保険法が公布された。平成12年度からは高齢者らに対する医療・福祉サービスの一部は介護保険制度による介護サービスとして提供され,地域保健福祉対策も介護保険制度と一体的に展開されることになる。
東京都では,平成9年4月地域保健の機能強化をめざして,保健所の再編整備が行われ,新しい保健所が発足した。保健婦(士)の活動体制も機能強化に伴い,保健指導係のほかに精神保健・難病対策係や,地域保健推進室に配属されるなど組織として広がってきている。これまでは,1市1保健所または1保健相談所体制であったが,管轄地域の広域化により複数市町村との連携や支援を各市の状況に合わせて進める活動と,保健所の企画・調整機能を発揮し,総合的に展開する活動が求められている。
介護保険制度が導入されても,予防的な視点を重視した,保健活動の取り組みが行われなければ,制度の円滑な運用は困難と思われる。介護保険法の中に市町村や都道府県の役割は明記されているが,保健所の役割についてはほとんど記載されていない。
平成10年11月,国の公衆衛生審議会総合部会は「地域保健対策の推進に関する基本指針」を見直すために検討会を設置した。検討事項の1つとして“介護保険制度導入を踏まえた保健所および市町村保健センターなどの役割”が挙げられている。
社会保障制度の大きな転換となる介護保険制度に,保健所はどのようにかかわっていくのか,また,保健婦活動はどのように進めていくか,課題や方向性について検討を重ねてきた。7月からはプロジェクトチームを組み検討をしているので,介護保険にかかわる東京都保健所および保健婦(士)の取り組み状況を報告する。
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