特集 保健所の役割—今まで,今,そしてこれから
地域保健強化への保健所とその将来の布石—石川県の経験の中で
西 正美
1
1石川県保健環境センター
pp.595-600
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902771
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はじめに
昭和23年の保健所法施行以来,幾度か,時代の変遷に合わせて保健所の再編が行われてきた。型別再編,基調報告,保健圏域設定,将来構想検討報告など枚挙に暇ないが,いずれも具体的な再編には至らず,都道府県・政令市それぞれでの変革が行われてきたに過ぎない。各都道府県・政令市は,時代に合った,効率的な保健所運営と地域保健の確立のために,塗炭の苦しみに喘ぎながらの工夫をこらしたが,必ずしも時流に対応できたとは言いがたかった。多くの関係者からの批判が相次ぐ中で,限られた予算とマンパワーでの改善には,制約が多かった。とくに保健所長要員としての医師不足は,目を覆うばかりであり,所長の欠員という保健所も慢性的に見られる状態が続いていた。
また,保健所長のみならず,地域保健の中核的専門職の医師は,なおさらであり,保健所機能の強化はかけ声だけでは,とても実現できる状況にはなかった。医師のみならず,その他の多くの専門職についても程度の差はあっても,大同小異であり,マンパワー不足は,極めて深刻な問題であった。
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