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“心のリハビリ”美容講習会—おもわず真剣になってしまう作業療法の試み 東京都北区衛生部
八木 保
pp.879-882
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902722
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まずは保健婦の鳥海さんをモデルに,化粧のポイントを話しながらの美容師さんの実演指導から講習会は始まった。ファンデーションの選び方から,眉墨の描き方,口紅の奇麗な塗り方など,参加者の熱いまなざしは真剣そのもの。そして実際に自分でやってみる—「口紅の色はどの色にしようかしら?」「あら,あなたの色すてきだわ!」と楽しくおしゃべりをしながらも,生き生きと真剣に手は動かしながら美容講習会は進んでいった。
美容講習会を開催したのは北区立障害者福祉センターの社会復帰援助係。東京都北区で実施している通所機能訓練事業は,老人保健法に基づき1984年9月に発足し,理学療法・作業療法的訓練(6か月),言語療法的訓練(12か月)の個別訓練を行い,その終了者に対して集団療法を行っている。最近の訓練生は年齢も若くなり40〜70代までと年齢層も広くなってきている。脳血管疾患などの後遺症による障害を持つと,その障害を背負いつつ日常生活を送っていかなければならない。病院を退院してからも家に閉じこもりがちだった人も,ここ北区立障害者福祉センターに通うようになると,早い人で1か月,遅い人で6か月くらいで緊張もとれ表情も明るくやわらかになり,スタッフやほかの訓練生との会話も楽しめるようになってくるという。
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