連載 病とともに紡ぐ援助論・8
「物言わぬ支え手たち」/「セルフヘルプ・グループ」
ひろす けい
pp.988-992
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902707
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
街の大通りにクリスマス・イルミネーションが飾られるようになった。1か月後の外来受診結果は思ったより良好で,自宅療養期間も伸び,年末年始は何とか家族とともに過ごせることを素直に喜んだ。しかし,街の賑わいのなかには簡単には入れそうもなく,せめて自宅のなかだけでもと雰囲気づくりに努めるのだが,幼い頃,一緒にクリスマスツリーを飾った子どもたちは「まだ飾るの?」と素っ気ない。娘,息子にとってのクリスマスは保育所の頃から馴染んだ年間行事の一駒に過ぎず,それはもう十分味わい尽したイベントでしかないのだろう。信仰とは無関係なところで営まれる風物に距離を置いている我が子らの態度に一抹の淋しさを覚えつつ,自らの批判精神の鈍磨を気づかされた。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.