海外レポート
フィリピンの保健推進員—貧しくも頼もしき住民パワー
湯浅 資之
1
,
小村 陽子
2
,
中原 俊隆
3
1国際協力事業団フィリピン家族計画母子保健プロジェクトチームリーダー(国立国際医療センター国際医療協力局)
2国際協力事業団フィリピン家族計画・母子保健プロジェクト母子保健
3京都大学大学院医学研究科(公衆衛生学)
pp.870-874
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902689
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はじめに
第2次世界大戦直後,英語が広く用いられているフィリピンは東南アジアのなかで最も早く戦争による荒廃から抜け出し,開発が進むであろうと思われていた。このため,多くの国際機関が事務所を構え,アメリカも海外最大の軍事基地を置いたのである。しかし,歴史は人々の思惑どおりには進まなかった。政治の腐敗が開発を遅らせ,1990年初めには「アジアの病人」とまで椰楡されるほど経済は停滞してしまったのである。21世紀となった今日もなお,一部の上流層を除いて,政府も大多数の国民も未だ貧しい状態におかれている。
しかし,そんな状況にあっても人々の健康と幸せを願ってたくましく活動している人たちがいる。本稿は貧しき農村で活躍するフィリピンの保健推進員を紹介し,彼らの活動の原動力を探ってみたい。
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