連載 感染症 Up to Date・66
インフルエンザ—近年の動向と注意点
進藤 奈邦子
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.76-79
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902562
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インフルエンザと人類の付き合いは長く,ギリシャ・ローマ時代の記録にインフルエンザらしき流行病の記載がみられるという。多くの感染症を克服してきた人類であるが,インフルエンザはいまだに残されている最大級の疾病であるといってよい。1918年に登場して全世界を凌駕した「スペインかぜ」は,2000万人以上の死者を出したといわれている。当時は世界大戦中であったため,兵士を含め,20〜30代の若い成人層が最も多く死亡した。
先進工業国が目覚ましい発展を遂げ,著しい経済成長とともに衛生環境が向上し,人々は長寿を手に入れた。世界一長い寿命を誇るわが国もしかりである。学童の集団予防接種で子どもの流行性疾患であるとの認識が浸透してしまったインフルエンザであるが,いま,この長寿社会を直撃する脅威となっている。
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